応用表面工学 第4回「ぬれ」

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Summary

このビデオでは、固体表面における液体の付着、特に「ぬれ」現象について詳細に解説しています。表面エネルギーや界面エネルギーの基礎概念から始まり、接着剤、洗浄、分散などの工業的応用例、さらには接触角測定の重要性とその測定方法、接触角ヒステリシスといった実践的な側面までを網羅しています。

Highlights

付着仕事と凝集仕事
00:00:03

固体表面と液体の付着について。「付着仕事」は2つの物質を引き離すのに必要な仕事で、同じ物質の場合は「凝集仕事」となる。真空中で物質を引き離す場合、引力が働くため、これらの仕事は常に正の値となる。固体と液体の場合はそれぞれWslと表記される。

表面エネルギーの概念
00:05:41

2つの物体を引き離すと表面積が増加し、その際の自由エネルギーの変化を「表面エネルギー」と呼ぶ。固体の場合、表面エネルギーは単位面積あたりのエネルギー(ジュール/m²)で表される。液体の場合、「表面張力」(ニュートン/メートル)とも呼ばれ、液体の表面が引張力を持つことを示す。

界面エネルギーとデュプレの式
00:13:11

混じり合わない液体同士が接する場合、その界面の面積を増やすのに必要な仕事を「界面エネルギー」または「界面張力」と呼ぶ。界面エネルギー(γ12)は、個々の物質の表面エネルギー(γ1, γ2)と付着仕事(W12)の関係から、デュプレの式(γ12 = γ1 + γ2 - W12)で表される。特に、固体と液体の界面エネルギー(γsl)は、γsl = γl + γs - Wslとなる。

表面エネルギーの成分とデュプレの式の応用
00:20:45

付着仕事は分散力(分子間力)のみが寄与する場合、個々の物質の凝集仕事の平方根の積で近似できる。表面エネルギーは分散力成分、極性成分、水素結合成分の3つから構成される。デュプレの式と表面エネルギーの成分を用いて、固体表面エネルギーの評価が可能になる。

濡れの重要性と接触角の定義
00:25:15

固体表面への液体の付着、すなわち「ぬれ」は、接着、洗浄、分散といった工業的に極めて重要な現象である。ぬれ現象は、固体-液体界面のエネルギー変化として捉えられ、エネルギー変化が大きいほど付着強度が強い。ぬれの評価には「接触角」が用いられ、液滴が固体表面上で広がる角度によってぬれやすさを判断する。

ヤングの式と接触角からの表面エネルギー評価
00:36:04

液滴、固体、気体の3相が接する境界線における力の平衡関係を表すのがヤングの式(γs = γsl + γl cosθ)である。この式とデュプレの式を組み合わせることで、測定困難な固体表面エネルギー(γs)を、測定可能な液体表面張力(γl)と接触角(θ)から評価することができる。ただし、この方法は特に極性成分がない場合に厳密に成り立つ。

極性成分が存在する場合の表面エネルギー評価
00:43:50

極性成分が存在する場合、デュプレの式は分散力以外の相互作用エネルギー項を含む形になる。この新しいデュプレの式をヤングの式に代入し変形することで、固体表面の分散力成分と極性成分を独立して求めることができる。複数の異なる液体を用いてプロットすることで、これらの成分を評価する。

接触角ヒステリシスと実用表面での課題
01:02:18

実用表面では、表面の凹凸や不均一性により、接触角に「ヒステリシス」が発生する。これは、液滴が広がる際の「前進接触角」(θa)と、液滴が収縮する際の「後退接触角」(θr)が異なる現象である。この差は、表面の不均一性や粗さが原因となる。

化学的不均一性がある場合の接触角(カッシーの式)
01:06:33

化学的に不均一な表面では、見かけの接触角(θ')は、各表面成分の割合(q)と接触角(θ)によって決まるカッシーの式(cosθ' = q1 cosθ1 + q2 cosθ2)で表される。この式は経験式であり、ヒステリシスが大きい表面では特に顕著な違いが現れる。特に空気層が存在する場合、疎水性が増大することがある。

表面粗さがある場合の接触角(ウェンゼルの式)
01:14:41

表面が粗い場合、見かけの接触角(θ')と真実の接触角(θ)の関係は、表面粗さ係数(r、実表面積/投影面積)を用いたウェンゼルの式(cosθ' = r cosθ)で表される。粗い表面は、もともとぬれやすい表面はよりぬれやすく、ぬれにくい表面はよりぬれにくくなるという特性を示す。超撥水面は、この原理を利用して表面を微細な凹凸で粗くし、疎水性物質でコーティングすることで実現される。

接触角測定方法:ウィルヘルミープレート法
01:21:04

接触角の測定方法の一つに「ウィルヘルミープレート法」がある。これは、細く切り出したサンプルを液体に浸し、その際に生じる液面の上昇(メニスカス)に伴う力を高精度な天秤で測定することで接触角を算出する。液面を上下させることで、動的な接触角(前進・後退接触角)も測定できる利点があるが、装置は高価になる傾向がある。

接触角測定方法:セシルドロップ法
01:25:00

もう一つの方法は、「セシルドロップ法」である。これは、固体表面に液滴を滴下し、その液滴の側面形状をカメラで撮影して接触角を直接測定する手法。操作が簡単で比較的安価に導入できるため、市販の装置の多くがこの方式を採用している。ただし、測定精度はウィルヘルミープレート法よりも劣り、液滴の重力による変形や蒸発による影響を受けるため、得られる接触角が前進接触角と後退接触角のどちらに相当するのか注意が必要である。

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